日本演芸若手研精会の創設者、稲葉守治さん。(研精会とは)

稲葉守治さん…。

先日、3月10日のご命日にお墓参りへ。

研精会を設立されてからお亡くなりになるまで、毎月、国立演芸場を自費でお借りになって運営され、チケットも色んな方に配られていたそうです。

その資金で、本来ならば家がもう2、3軒建てられたほどだったとか。

稲葉さんご自身は、決して楽屋にはいらっしゃることなく、打ち上げにもお出にならず、出演者にもほとんどダメ出しもなさらない。

ただ毎月、二つ目が出演できる「場所」をご提供く下さり、お客様を集めて下さる。

それを何十年と続けてこられたお方です。

第一期生には、さん喬師匠や雲助師匠。それ以降も扇遊師匠、喜多八師匠、師匠・市馬、三三兄や一之輔兄。

古典落語をきちんと、という噺家ばかりを集めた会でした。当初は(笑)

ですから、選ばれた時は本当に嬉しかった。

アタシが二ツ目になって最初にトリを勤めた研精会での出来事。
急遽、予定になかった口上を、アタシのためにメンバー全員にお願いして下さいました。
何しろ急遽ですから、その日出番のなかった方は紋付き袴どころか着物すら持っていませんから、洋服の上から借りた羽織だけ羽織ったりと、なんだかもう『長屋の花見』みたいでした。

とてもとても嬉しかった。

次の研精会でそのお礼を稲葉さんに申し上げると、
「君にはもう何もしてあげられないからね。」

二ヶ月後、稲葉さんは亡くなりました。

それからは研精会で主任を勤める前には、必ず、お墓参りしています。

真打ちの披露目の前に、昇進のご報告でお参りして以来でしたし、研精会の件でご報告に上がらなければならない事もありましたので、御命日の3月10日にお墓参りしました。

2021年4月1日にホームページに掲載。

 

<追記2021.5.1>
ホームページやTwitterの研精会アカウントで閉会のお知らせが出たようです。ひっそりと幕を閉じました。稲葉さんにメンバーに選んでいただいたのは小辰さんまででした。以降はオフィスエムズが引き継ぎ、メンバーはエムズの加藤氏が選びました。
我々メンバーは、1月に閉会の連絡を頂き、3月に書面で正式にご案内がきました。
お客様につきましては、HPでは説明があるようですが、Twitterアカウントには鍵がかかっているため、共通チケットをお持ちの方への対応等をどうされるのか、個人的には心配しております。

<追記2023.8.14>
アタシ(当時、柳亭市楽)が入って以降の、2021年に終了するまでの研精会メンバーは以下の通り。ちなみに、2022年にお開きの会がありました。
落語協会は春風亭柳朝(朝之助)、柳家三之助、入船亭扇里、春風亭一之輔、金原亭龍馬、入船亭扇蔵(遊一)、柳亭こみち、玉屋柳勢(柳亭市楽)、春風亭柳枝(正太郎)、古今亭志ん雀(志ん吉)、入船亭扇橋(小辰)、柳家緑太、柳亭市童、入船亭遊京、三遊亭わん丈、柳家小はぜ、柳家小もん、春風亭一花、春風亭㐂いち、あと当時前座だったのが三遊亭歌彦(歌つを)

芸術協会は三遊亭遊馬、瀧川鯉橋、三笑亭夢丸(夢吉)、桂宮治、春風亭昇々
(敬称略)

 

<関連ブログ>
9/3 日本演芸若手研精会とは