今回は昭和の落語作家、鈴木みちを先生の作『表札』。
これは先代の古今亭今輔師匠のされていたネタで、いわゆる「芸協新作」です。
「芸協新作」とは落語芸術協会に伝わる主に昭和を舞台にした新作落語のことで、『ぜんざい公社』『ラーメン屋』などがそうですね。
『ラーメン屋』は雲助師匠の『夜鷹そば屋』の元ネタです。
レトロな雰囲気でアタシは好きです。
そんな芸協新作の1つがこの『表札』
(あらすじ)大学を出て社会人4年目の男の話。田舎から父親が上京してくるが、実はこの父親に秘密にしていることが。それがバレない様に、隣に住んでいるおじさんと相談をして…。
アタシは落語協会に所属しておりますが、10年前くらいに、芸術協会の先輩にお稽古をつけて頂きました。
今だから話せますが、教えて頂くときに実はこんな注意事項が…
「(ほげほげ)師匠の目に入る所では掛けないでくれ」
というもの。
けっこう強く言われたので、その方がこの噺をおやりになるなんて聞いたことないのになぁ、何でだろう?と思ったら、
その師匠は、われわれ落語協会のことが大嫌い!(クスン)、なのだそうで…(汗)。
「我らが芸協のネタを落語協会に流すなんてトンでもない!」という考えをお持ちのとてもとても厳格な方。ネタ帳で見つけると「協会の奴に教えたのは誰だ!」と犯人探しをされていたそうなのです。
その時はたいへんだったのでしょうね。
「誰に習ったか内緒にして欲しい」
「この噺を誰かに稽古をつけて広めないでほしい」
お世話になっているその先輩にご迷惑をお掛けしては申し訳が立ちませんから、習って10年近く、これまであまり高座には掛けてはきませんでした。
そろそろ大丈夫そうですし、自分なりに色々工夫をして、いいネタになった(つもり)ので、これから掛ける機会も増えると思います。
良いものは掛けて行きたいですしね(^_-)
(われわれ落語協会からも実に沢山のネタが伝わっていますので、大目にみていただけましたら幸いです。)
その時はどうぞお付き合いの程を、よろしくお願いいたします。
(ほげほげ)師匠にはナイショですよ(*^^*)
<関連ブログ>
[噺のネタ]3『夜鷹そば屋』(もちろん五街道雲助師匠から)
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