『世阿弥 最後の花』~能を「観る」だけでなく「読む」楽しさ

 

春からお能の謡を習っています。

 

能というと「見たことはあるけど寝ちゃった」という方も多いでしょう。アタシも何度か見ましたが、いつも寝てばかり。

 

「能は自分でお稽古をしている人が見たら面白いんだろうけど・・・」

 

そう思っていたアタシですが、いざ自分が習ってみたところ

・・・

面白いんですよこれが!

 

今は毎月能を見て、色んな能楽関連の本を読んで楽しんでいます。

 

そんな流れで『世阿弥 最後の花』を読みました。

 

三代将軍・足利義満公に可愛がられ、世に出た世阿弥ですが、六代将軍義教にはハマらず、佐渡に島流しに。

そんな佐渡での晩年の生活を描いたのがこの作品。

芸を託そうとした子供には先に死なれ、老いて都を追われ佐渡に流された世阿弥。そこで出会った子供(たつ丸)や侍(朔之進)達との触れ合いから、彼自身にも変化が…。

章ごとに語り手が変わり、一つのエピソードも複数の視点から語られる為、物語がより立体的になります。

また著者ご本人もお能を稽古されている(注)そうなので、能のシーンの描き方は「迫真」、真に迫っていたのでは、と能楽初心者ですが感じられました。

 

中盤の雨乞いのシーンからはページをめくる手が止まらず…

 

早く読み進めたい思いとゆっくり味わいたい気持ちとで板挟みになりました。

 

能を見たくなり、佐渡に行きたくなり、登場人物達に会いたくなる、そんな作品。

 

惜しむらくは…アタシは謡は習っていますが仕舞はまだなので、小説中に出てくるサシコミ等の言葉で頭に絵が描けないこと(泣)

 

早く仕舞も習おうと思ったのでした。

 

(注)『能楽タイムズ』(能楽書林)832号のインタビューに記されていました。

■藤沢周『世阿弥 最後の花』(河出書房新社)