[噺のネタ]1『孝行糖』(南喬師匠から)

アタシが楽屋入りして一番最初に衝撃を受けた高座が、桂南喬師匠の『たらちめ』でした。(通常は『たらちね』ですが金馬師型はネタ帳にそう書きます)

もう面白くて面白くて。

前座になって半年ぐらいに「お前ももう少ししたらヨソの師匠に稽古を頼んでやろう。誰か稽古をつけてもらいたい人いるか?」と聞かれ、「扇橋師匠と南喬師匠」と答えるぐらい大好きな師匠。

南喬師匠は、戦後ラジオで絶大な人気を集めた三代目金馬師の最後のお弟子さんです。金馬師が亡くなられてからは、桂小南師匠の門下として芸術協会に所属されてましたが、後に我々落語協会に入りました。

当時、落語協会の若手が列をなして『天狗裁き』と『ふぐ鍋』を習ったそうです。

ちなみにうちの師匠・市馬は「俺はみんながその2つを習うから『富士詣り』を習ったんだ」と誇らしげに自慢してました。

アタシが入門前に絶対やりたかったネタが『つる』『松山鏡』『ひなつば』『夢の酒』と、『孝行糖』。

その南喬師が、三代目金馬師の十八番中の十八番だった『孝行糖』をされるのを知り、前座の時にお稽古をつけて頂きました。

ところがアタシがあまりにもヘタクソだったので、師匠が呆れ返ってしまい、「君にはまだムリだから二ツ目になってからやんなさい」と、二ツ目になってから改めて上げの稽古をして頂いたという、なんとも手間と暇の掛かってしまった噺となりました。

前座の頃は上手い下手以前に、ちゃんと覚えられないんだから師匠が呆れ返るのも無理もない話です。

 

今、再び作り直そうと、そのお稽古のテープを聞いたところ…

アタシが以前覚えたのと結構違う…(^_^;)

 

『孝行糖』は、今持ちネタにされている方が少ないので、何とか磨いて寄席で掛けられるようにしたいです。