寄席のカラー。
協会のカラー。
一門のカラー。
落語の初心者はまずは寄席へ行ってみよう。
何度か通ううちに、それらが何となく見えてきます。
そう。
寄席(定席)はカタログ。
落語界の現在を大まかに捉えられる場所。
なのかなと思います。
年間を通して、様々な師匠方や一門の落語をふらりと聴けるのが寄席の良いところ。他の落語会では見られない、一門ならではの興行が年間を通して行われています。
オールスターで固めた定番の落語会は、ホール落語や地域寄席等で見るとして、落語協会の定席は、寄席でしか見られない顔付けが売り。
特に、寄席(定席)の役割は、集客だけではなく、より多くの噺家を観る機会を増やし、見せ場をつくること、でもあります。更に、お客様の落語への見識を高めることも。
そのために、顔付けでは、噺家一人一人の技量や素養を見極め、その興行ごとに合った、しっかり仕事のできる噺家を選定できるかが腕の見せ所。
落語協会の定席では、一門やトリの「カラー」が出やすい顔付けとなっています。
そのカラーを保ちながら、差し色を織り混ぜる。
顔付けを見ると、その席亭のセンスと「意図」が見えてきます。
各寄席のカラーを見比べるのも、またひとつの落語の楽しみ方でもあります。
ぜひ、一門のにおい、伝統、トリの師匠のカラーの違いを感じてみて下さい。
そして、落語の「におい」を感じられるようになったら、そこで見つけた気になる噺家の勉強会や独演会へ。ぜひ個人をじっくり観て頂きたいです。
そんな流れが理想ですね。
企画ものやホールなどで開催される落語会で活躍する噺家は、ほんの一握り。
そこで掛けられるネタも、限定されがちです。
小さな会でも活躍されている、魅力的な師匠方が沢山いらっしゃいますので、ぜひご自身で発掘してみてください。
落語は、ジャンルは大衆芸能となりますが、江戸から続く、伝統的な話芸です。
修業を通して、しきたりや伝統が受け継がれています。
定席での厳しい前座修業を終え、教えを守り、きちんと躾られている噺家には、伝統や歴史の「におい」が感じられる筈です。
その風情もぜひ感じてほしいです。
マスコミ、大ホールの独演会、活躍の場は色々ございますが、アタシは寄席芸人を目指します!
(2022.4.8 18:29 掲載)
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メモ 落語協会の都内の定席(広義)は、鈴本演芸場、浅草演芸ホール、池袋演芸場、末広亭、国立演芸場です。(2022/4/24追記)