歌舞伎役者、中村鷹之資さんの勉強会、翔之會に行って参りました。
池袋の独演会で申し上げたお手伝い、そして101らくごでお話ししました大向うで、です。
大向うはお芝居を引き立てる物ではありますが、大向うが下手ですと…。
これは責任重大だな、ということで一朝師匠に相談しました。
一朝師は二ツ目時分に歌舞伎座で笛を吹いてらした方ですから、良いアドバイスが頂けるのではないかと思いまして…。
アタシ「今度大向うをやることになりまして…」
一朝師「あそうなの。演目は?」
アタシ「『矢の根』と『二人椀久』なんです」
一朝師「『矢の根』はともかく『二人椀久』は難しいよー」
アタシ「そうなんです。プロの大向うの方(注)が何人かいらっしゃるそうなんで、少し安心はしてるんですけど…」
一朝師「それなら大丈夫。誰かが『天王寺~!』って言ったら合わせて『屋~!』って叫べば良いから(笑)」
なんて実践的なアドバイス。
随分気が楽に…。
私なりに色々勉強しました所、『矢の根』は荒事なので大音声で小屋全体に響き渡るように、『二人椀久』の様な舞踊は三味線の間を埋めるように低音で短く掛ける、など様々なやり方があるそうで、知れば知るほど面白い世界です。
会の前日は舞台稽古も見せて頂き、いざ当日、昼夜2回公演を迎えました。
プロの方々は3階席から、アタシは別の場所からの大向う。
昼の部はプロの皆様がどのタイミングで掛けるのかしら、とやや恐る恐る確かめながら。
昼で大体把握出来たので、夜の部はノビノビ掛けることが出来ました。
やっぱり楽しかったんですかね、かみさんに「あんた何かテンション高くてうるさい」と煙たがられてました(泣)
終演後、鷹之資さんから「あれはもうプロの大向うさんでしたよ」とお褒めの言葉をいただき、更にテンションが上がってしまったのでした。
他にも前日の準備から開場時の受付け、八ッ橋売り、色々体験させて頂きました。
いやー、楽しかったなぁ。
夢のような時間を経験させて頂きました♪
そして幕間では松本幸四郎さん八ッ橋事件(笑)があった?のですが…
それはまた、別の、オハナシ。
どこかの高座でお話しさせて頂くかと思います。
(注)
大向うの会、がいくつかありまして、会員さんに認められ、所属されている『プロの大向う』の方が主に掛けています。
(時々興奮して掛けてしまうお素人の方がいらっしゃいますが、それはそれとして…)
コロナ禍で、全面禁止となった大向うですが、現在、歌舞伎座ではマスク着用の上、所定の場所からプロのみが掛ける、とされています。
今回は個人の会ということで、アタクシも特別に掛けさせて頂くことになりました。マスク着用のうえ、前にお座りのお客さまへも、事前にお伝えした上で掛けさせて頂きました。
(関連ブログ)
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2023.10.10 18:05公式HPにUP