「地噺は恥じらいがない人はやっちゃダメなんだよ。」
その言葉を聞いて以来、色んな地噺に挑戦してきました。
4/8はお釈迦様の誕生日、先代の文治師匠は毎年この日に『お血脈』を掛けていらしたそうです。
アタシは講談や芝居の件があるのでやってみたいと思い、二つ目になりたての時に、習いました。
そのネタおろしのひどかったこと(笑)
稽古の時は左程でもなかったのですが、実際に高座でやってみると、地噺の中にあるダジャレを言うのが恥ずかしくて恥ずかしくて…。
なにしろ噺の最中で「もう2度やりません!」と叫んだほどで、暫くお蔵入りしてました。
それが何故また掛ける様になったのか。
それは『芝居の喧嘩』を掛けた時に、袖で聞いていたたけ平兄さんからアドバイスを頂いたことがきっかけなんです。
「あなた張り調子で喋れるから、地噺向いてるよ。やった方がいいよ。」
その時に、「実は以前やった時に恥ずかしくなって」と伝えましたら、
「尚更いいよ!地噺は恥じらいがない人はやっちゃダメなんだよ。」
その言葉を聞いて以来、色んな地噺に挑戦してきました。
たけ平兄さんによると、「お血脈は三大難しい地噺の1つ」だと、小朝師匠が仰っていたそうです。
というのは、前半と後半で噺の場面がガラリと変わるから、なのだとか。
前半は別名『善光寺由来』と言いまして、お釈迦様の誕生から仏教伝来を経て、善光寺が出来るまで。ここまでは普通に地噺として進んで行きます。
ところが、後半はいきなり舞台が地獄になるため、前後半のバランスが悪いと中々上手くいかないんだそうです。
こんな話を聞いていたので、『お血脈』をもう一度やり直してみようと、自分に合うバランスに作り直したところ、2019年には年間で最も掛けたネタになりました。
先輩のアドバイスはありがたいです。
たけ平兄さんには他にも色々教えて頂いています。
中でも心に刻んでいるのは「寄席での持ち時間は絶対守らなきゃダメ!」ということ。
番組にも寄りますが、持ち時間は鈴本・池袋は15分、浅草・末広は12.3分と決まっています。
時間をこぼす、ということは、誰かの時間を奪うことになります。
当たり前のマナーですが、守れていない人が意外と多いようで。
でもそれではプロとは言えませんよね。
その点、寄席のレギュラークラスの師匠方は流石です。寄席では、大概持ち時間通り、それどころか延びている時には縮めておりて来て下さいます。(補足)
アタシも寄席の戦力となるべく、持ち時間を守るべく、真打ちになってからはコンタクトレンズを入れ、時計を見ながら高座を勤めています。
(補足)前座の頃、古今亭菊丸師匠が『子ほめ』や『親子酒』を5分くらいにまとめて、しかもウケておりてくださるので、大変にありがたかったです。
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