今回は最近よく掛けている『強情灸』を。
二ツ目の半ばくらいによく掛けていました。
真打ちになってからは、二ツ目なら良くても真打ちでこの『強情灸』ではちょっとなぁ、と自分の中で及第点は出せず、お蔵入りに。
それを今年に入って引っ張り出してみたところ、もう少し磨いていこう、という気になり、ここの所掛けています。
噺の稽古は五街道雲助師匠につけて頂き、その際に「これは江戸ッ子弁の稽古の噺」と教わりました。
江戸弁でも、江戸言葉でもなく『江戸ッ子弁』という言い方で。
おそらく、この噺は江戸弁を粋に喋るのでなく、コミカライズ(戯画化)して演じるんだよ、という教えなのかな、と思い、それを大事に演じています。
この噺は、大師匠、小さんの十八番中の十八番でもあります。
同じくこのネタを得意にされていた志ん朝師匠も、寄席で10日間大師匠とご一緒された時には、「目白が掛けるまではやらないよ」と仰っていたそうです。(注1)
それほどのネタですが、小さんのやり方で高座に掛けている方は今ほとんどいません。
なぜなら前半が地味で地味で…。
平たく言えばウケません。
「柳家なんだから、小さんのやり方でやります!」と挑戦した方は何人か見ましたが…
その後すぐにやらなくなってしまいました。
本当に難しいの…。
アタシは雲助師匠からなので、古今亭のやり方です。(注2)
こちらは前半に笑いも多くて…助かってます。
しかし、あれほど地味な前半でお客様を引きつけ、売り物にまでした大師匠。
何という芸の凄さ! (注3)
(注1)
その師匠の売り物のネタ、もしくはその師匠から習ったネタばその師匠が掛けた翌日から解禁となります。
(注2)
古今亭と柳家では、モグサを腕にのせる時の、腕の使い方も異なります。
古今亭は肘を上に、柳家は肘をを下げて、とでも言いましょうか。
まぁ、ご覧頂ければわかります(笑)
私は古今亭の型ですが、雲助師匠に「アンちゃんは柳家だから…」とお許しを頂き、そこだけ柳家でやっております。
そこだけですが…
(注3)
この絶滅危惧種の型を、最近では喬太郎師匠がされているそうです。
聞いてみたい!
(2024.4.10 9:32 HPに投稿)
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