[噺のネタ]3『夜鷹そば屋』(もちろん五街道雲助師匠から)

新作落語『ラーメン屋』を、雲助師匠が時代を江戸に変えて、古典落語風にした噺です。

屋台の蕎麦屋を営む年寄り夫婦、子供が出来なかったことを嘆いている所に飛び込んできた若い男、この三人の物語。

雲助師匠には20くらいの色んなネタのお稽古を付けて頂いてます。アタシは一番多く教わってます、うちの師匠よりも。(笑)
師匠のどのジャンルの噺も好きなのですが、とりわけ人情噺が大好きです。

その雲助師に人情噺を教わると「滑稽噺の息で」と言われます。

滑稽噺の呼吸で物語を運んでいくので、笑っている内に何だか胸がジワッとして泣きそうになる。でも涙はこぼれはしない。

演者としてはこれくらいを目指すのが程が良いという事なのだろうと思います。(泣かすことを目標にすると…結構ヒドイ物になりがちなので。)
そして、登場人物が泣き叫んだり、ベラベラ自分の気持ちを説明したりしない(意外とあるんです)「大人の人情噺」で、細かい所まで目配りされた演出なのです。

雲助師匠の形でやってみたい!そう思って習った噺が沢山あります。

中でも『夜鷹そば屋』は、大好きで大好きで、

いつかやりたいけど、弟子どころか一門でもないアタシに教えて頂けるかしら…と、お願いするのを躊躇していた特別な噺。

二つ目の半ばくらいに、意を決してお願いに上がりました。

 

「師匠、お稽古をお願いしたいのですが」

「何?」

「あの…『夜鷹そば屋』を」

 

少し遠くを見て、何かをお考えになった後、

 

「じゃあ馬石からテープもらって覚えて」

そう仰って下さいました。

 

その時の嬉しさと言ったら、、

NHK 落語大賞の決勝に出たような心持ちでした。(出たことないけど)

それからはよく高座に掛けています。

季節ネタではありませんが、秋から冬に掛けると気分が出やすい噺。

 

これからも大事に掛けて参ります。

 

<補足>
『ラーメン屋』は柳家金語楼師匠(ペンネームは有崎勉)の作、先代(五代目)古今亭今輔師匠が十八番とされていた落語芸術協会の新作落語です。